絵本『どんな色がすき』が子どもを夢中にさせる理由と出版社別比較
NHK『おかあさんといっしょ』で誕生して以来、30年以上の歳月にわたり日本中の子どもたちを惹きつけ続けている名曲『どんな色がすき』。その親しみやすいメロディとリズミカルな歌詞は、絵本というメディアに形を変え、今や家庭のみならず全国の保育園・幼稚園で「絶対に外さない定番絵本」として不動の地位を築いています。
一方で、書店やネット通販を覗くと複数の出版社から異なるイラストレーターによる絵本が刊行されており、「対象年齢は何歳からなのか」「どの出版社の一冊を選べばよいのか」「保育現場で子どもが集中する読み聞かせのコツはあるのか」といった疑問を抱く親や保育士も少なくありません。本稿では、楽曲の誕生背景から発達心理学に基づく魅力の正体、出版社別の徹底比較、現場実践に即した活用法までをプロの視点から徹底取材・解説します。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 要点1:『どんな色がすき』が子どもを惹きつける最大の要因は、坂田おさむ氏が考案した「問いかけと応答(コール&レスポンス)」のリズム構造と、自己主張を肯定する心理的仕掛けにある。
- 要点2:100%ORANGEが手掛ける小学館版をはじめ出版社ごとに特徴・判型・耐久性が大きく異なり、0〜2歳のファーストブックには厚紙ボードブック、集団への読み聞かせには大型本が適している。
- 要点3:ただ歌ってめくるだけでなく、パネルシアターやペープサート、クレヨンを使った実体験遊びへ接続することで、幼児期の色彩感覚と自己決定感を劇的に高めることができる。
【名曲の魔力】なぜ『どんな色がすき』の絵本は子どもを惹きつけて離さないのか?
「どんな いろが すき?」「あか!」――この極めてシンプルで軽快なやり取りが、なぜ数世代にわたって子どもたちの心を掴んで離さないのでしょうか。その根底には、緻密に計算された楽曲構造と乳幼児の発達段階に寄り添ったコミュニケーションの本質が存在します。
この楽曲は、NHK『おかあさんといっしょ』の第7代目「うたのおにいさん」を務めた坂田おさむ(修)氏が作詞・作曲を手掛け、1992年に同番組の「今月の歌」として発表されました。当時の制作秘話やインタビューにおいて坂田氏は、自身の子育て経験の中で「子どもがクレヨン箱を開けた瞬間に見せる独特の熱量」や「特定の色ばかりを使い切ってボロボロにしてしまう愛おしい姿」に着想を得たと明かしています。一番先に短くなる赤いクレヨンという設定は、まさに子どもの生態を細やかに観察したからこそ生まれたリアリティでした。
発達心理学の観点から分析すると、子どもは1歳半から2歳前後に差し掛かると、視覚の発達とともに「自分の意志や好み」を他者に伝えたいという強烈な欲求(自己主張の芽生え)を示し始めます。作中で繰り返される「どんな色がすき?」という問いかけは、子どもにとって「あなた自身の考えを教えて」と承認される体験そのものです。大人が歌い、子どもが「あお!」「みどり!」と声を返すインタラクションが、子どもの承認欲求とコミュニケーションの快感を強烈に刺激します。
さらに、歌絵本という特性が集中力を維持させます。文節ごとに明快なリズムが存在するため、まだ文章の意味を論理的に追えない0歳〜1歳の乳児であっても、耳から入る音の心地よさと絵の動きが合致し、自然とページに視線が吸い寄せられる仕組みが成立しているのです。

【出版社ごとの違いを徹底比較】代表的な絵本とスペック一覧
現在、『どんな色がすき』をテーマにした絵本や関連書籍は複数の出版社から刊行されています。読者のライフスタイルや子どもの年齢、使用シーン(家庭用か保育現場か)によって選ぶべき一冊は明確に分かれます。主要な作品の仕様と特徴を整理しました。
| 出版社・版型 | 作・絵の担当 | 推奨対象年齢・価格帯 | 編集部の見解・適した用途 |
|---|---|---|---|
| 小学館 (うたってあそぼうボードブック) | 作:坂田おさむ 絵:100%ORANGE | 0歳〜3歳 約900円〜1,100円前後 | 人気イラストレーターによる洗練されたポップなデザイン。厚紙仕様で破れにくく、家庭での日常使いやお出かけ用に最適。 |
| 岩崎書店 (大型絵本・通常版) | 作:坂田おさむ 絵:長野ヒデ子 等 | 1歳〜5歳 通常版:約1,400円 大型版:約8,000円〜 | 温かみのあるクラシックな絵柄でストーリー性が豊か。大型版は保育園や幼稚園、支援センターでの集団読み聞かせの定番。 |
| フレーベル館・チャイルド本社 (保育月刊誌・教材絵本) | 各種保育系作家・イラストレーター | 1歳〜4歳 定期購読・教材価格枠 | 保育所保育指針に連動した指導用手引きが付属することが多く、お絵かき遊びや制作活動への導入導線が極めてスムーズ。 |
| しかけ・音の出る絵本各種 (ポプラ社・学研など) | 企画編集部編 | 0歳〜2歳 約1,800円〜2,500円前後 | ボタンを押すとメロディが流れるタイプ。親が歌うのが苦手な場合や、車内・移動中のぐずり対策として即効性が高い。 |
数ある選択肢の中で、家庭用ファーストブックとして圧倒的支持を得ているのが小学館刊行の100%ORANGE(及川賢治・竹内朋香)作画バージョンです。無駄を削ぎ落としたスタイリッシュな線画と鮮烈なカラーリングは、赤ちゃんの未発達な視覚でも輪郭を捉えやすく、大人のインテリアにも馴染むデザイン性が高く評価されています。
【年齢別ガイド】0歳・1歳・2歳から幼児期までの発達段階と最適な楽しみ方
『どんな色がすき』の絵本は、子どもの成長ステップに応じて楽しみ方がダイナミックに変化します。対象年齢ごとの受容プロセスを把握しておくことで、無理のない楽しいスキンシップが実現します。
0歳児(生後6ヶ月〜11ヶ月):視覚刺激とリズムの心地よさ
この時期の赤ちゃんは、コントラストの強い原色(赤、黒、白、黄など)に強く反応します。まだ歌詞の意味や色の概念は理解していませんが、親が絵本を目の前に掲げてリズミカルに「あか!」「あお!」と歌いかけることで、視覚追従と聴覚刺激が連動します。角が丸く加工された厚手ボードブックを選び、舐めたり叩いたりしても壊れない環境を用意することが基本です。
1歳児:指差しとオノマトペによるコミュニケーション
言葉の理解が進む1歳児は、親の「赤色はどこかな?」という呼びかけに対して、指差しで答えようとします。作中に出てくるクレヨンのキャラクターを指差しながら「あった!」と喜ぶ姿が見られます。クレヨンたちが勢いよく紙を塗る描写に合わせて「シャカシャカ」「シュッシュッ」と効果音を付け足すと、夢中になって身体を揺らすようになります。
2歳児〜3歳児:自己主張の炸裂と色名の一致
「魔の2歳児」と呼ばれる自己主張のピーク期において、この絵本は最高の自己表現ツールへと進化します。「どんな色が好き?」と問いかけると、絵本に描かれていない色であっても「ピンク!」「むらさき!」と自分のこだわりを堂々と主張するようになります。この際、「絵本には載っていないよ」と否定せず、「ピンクが好きなんだね、素敵だね」と子どもの選択を丸ごと受け止めることが、自己肯定感の醸成につながります。

【保育現場のプロ直伝】読み聞かせのコツとパネルシアター・ペープサート連動術
保育現場において『どんな色がすき』は、朝の会や主活動(お絵かき、工作)へ移行する際の「導入ツール」として絶大な信頼を集めています。現役保育士たちが実践している、子どもの集中を一瞬で引きつける現場テクニックを公開します。
読み聞かせの第一のコツは、「クレヨン役」と「聞き手」の役割分担を明確にすることです。導入段階では保育士が歌の主旋律をリードし、「どんな色がすき?」の問いかけ部分で子どもたちの顔をぐるりと見渡します。そして「あか!」のフレーズで子どもたちに大声で叫んでもらう、あるいは手拍子を打たせることで、受動的な読み聞かせから「参加型アクティビティ」へと昇華させます。
さらに現場で多用されるのが、パネルシアターやペープサート(紙人形劇)との連動です。絵本の読み聞かせを終えた後、パネル板の上に真っ白なクレヨン箱を配置し、子どもたちの歌声に合わせて色鮮やかなクレヨンや、その色で描かれたアイテム(赤ならりんごや消防車、青なら魚や海)を飛び出させる演出を行います。
平面の絵本から立体的なシアターへと発展させることで、子どもの空間認識能力と連想力は飛躍的に刺激されます。保育指導案においても、「色の認識を深める」「友だちと一緒に歌う一体感を味わう」といったねらいを達成するための王道プログラムとして位置づけられています。
【口コミと現場のリアル】保護者・保育士の生の声と購入前の注意点
購入者の生の声やSNS上の育児コミュニティを定性分析すると、絶賛の声が大半を占める一方で、実際に手にした親ならではの苦労や見落としがちなポイントも浮き彫りになります。
肯定的なレビューとして目立つのは、日常のしつけやお絵かきへのスムーズな接続です。大手通販サイトや絵本レビューサイトの投稿では、次のような声が多数寄せられています。
「普段は絵本をじっと見ていられない1歳半の息子が、この本だけは歌い始めると走って戻ってくる」「初めて発語した言葉が『あか』だったのは完全にこの絵本のおかげ」といった現場証言が溢れています。親が特別な読み聞かせスキルを持っていなくても、「歌うだけ」で成立するハードルの低さも高評価の理由です。
一方で、見過ごせない「現場の悩み」も報告されています。最も多いのが「一度読み始めると無限ループに突入し、大人の喉が持たない」という嬉しい悲鳴です。また、薄い紙で作られた通常判型を1歳児に与えてしまい、「購入後数日でページが破れたり噛みちぎられたりした」という失敗談も散見されます。乳幼児期に買い与える際は、数百度の開閉に耐えうるボードブック仕様であるかを確認することが実用上の必須条件です。

一般に知られていない盲点とネットの誤解
インターネット上の育児記事や知育フォーラムにおいて時折見受けられるのが、「この絵本を読ませて早く色の名前を覚えさせたい」「2歳なのに赤と青を言い間違えるのは問題か」という早期教育的な焦燥感です。しかし、教育関係者や発達の専門家は、こうしたアプローチに対して警鐘を鳴らしています。
『どんな色がすき』の本質は、「知識のテスト」ではなく「感情の共有」です。ページをめくりながら「これは何色? 言ってみて?」と子どもを試すような問い詰め方をすると、絵本そのものが子どもにとってプレッシャーとなり、自発的な興味が急速に失われてしまいます。
幼児の色彩弁別(見分ける力)と言語ラベル(色の名前)の一致には個人差があり、3歳を過ぎてから急激に合致することも珍しくありません。「あか」と言いながら青いクレヨンを指差したとしても、その間違いを正すのではなく、「その色が気になったんだね」と興味そのものを受け止める姿勢が、長期的な自己肯定感と探究心を育てます。
【プロの結論】おすすめできる家庭・慎重に選ぶべきタイプの判断基準
購入後にミスマッチを起こさないための明確なスクリーニング基準を提示します。
【即座に選ぶべき家庭・現場】:
- 子どもが音楽や手遊び歌が好きで、身体を動かしながら楽しみたい家庭
- これからクレヨンを使ったお絵かき遊びを日常に取り入れたいと考えている1〜2歳児の保護者
- 朝の会や集会で子どもたちの一体感・集中力を生み出したい保育士・幼稚園教諭
【慎重に検討すべき家庭】:
- 静かにストーリーを追う物語絵本(起承転結のある文学作品)を求めている場合
- 親が歌いながら読むことに対して強い抵抗感や疲労感を感じてしまう環境(※この場合はCD付きや音の出る絵本を選択するのが現実的)
【どんな色がすき 絵本】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:歌のメロディを正確に知らない親でも読み聞かせできますか?
A1:まったく問題ありません。楽譜が巻末に掲載されている版も多いですが、正確な音程で歌う必要はありません。「どんな色〜が好き? 赤!」と語りかけるようにリズミカルに抑揚をつけるだけで、子どもは十分にそのテンポ感を楽しみます。また、事前に動画配信サービスや音楽配信で一度原曲を聴いておくとイメージが掴みやすくなります。
Q2:100%ORANGE版と通常版のどちらがおすすめですか?
A2:0歳〜2歳前後の家庭用であれば、紙質が極めて頑丈で持ち運びに適した小学館の100%ORANGE版(ボードブック)が一押しです。一方、3歳以上でストーリーとしての深みを楽しみたい場合や、保育施設などで大人数に見せる場合は、絵のサイズが大きくクレヨンの質感が生々しく伝わる岩崎書店版などの大型絵本が適しています。
Q3:クレヨンを口に入れてしまう年齢でも与えて大丈夫ですか?
A3:絵本自体はボードブックを選べば安全に楽しめます。ただし、絵本を読んだ後に実際のクレヨンを持たせる実体験へとステップアップする際は、万が一口に入れても無害な蜜ろうクレヨンや米ぬか由来のお米のクレヨン、水で落とせる幼児用クレヨンを用意することをおすすめします。
まとめ:今後の動向と失敗しないための判断基準
デジタル端末の普及により、幼少期からタブレットや動画コンテンツに触れる機会が急増しています。しかし、画面を一方的に眺めるデジタル動画とは異なり、絵本『どんな色がすき』を通じたコミュニケーションには、「生の声による問いかけ」と「子どもの自由な応答」という血の通った双方向性が存在します。
子どもが発する「あか!」「あお!」という短い言葉の裏には、世界に対する好奇心と自己決定の第一歩が凝縮されています。購入を検討する際は、子どもの月齢に合った判型(乳幼児なら破損に強いボードブック)を見極め、知育の道具として急がせるのではなく、日々の楽しいスキンシップの道具として活用してみてください。親子で交わした「どんな色がすき?」のやり取りは、子どもの情緒を豊かに育み、生涯にわたる温かな原体験として心に残り続けるはずです。 (出典: どんな 色 が 好き 絵本(Yahoo!ニュース))